裁判に至った経緯
2022年7月の安倍元首相銃撃事件を機に、旧統一教会問題が社会の注目を集めました。
ノンフィクション作家・福田ますみさんは、報道の渦中でほとんど伝えられていなかった事実——信者の声、取材拒否の実態、そして「脱会屋」の問題——に光を当てるべく、独自の取材を重ねてきました。
その成果は月刊Hanadaでの連載記事やYouTube番組での発言として発表され、2025年11月には連載をまとめた著書『国家の生贄』(飛鳥新社)が出版されました。
しかし書籍の出版と同月、紀藤正樹弁護士が連載記事とYouTube番組での発言を対象として、約1200万円の損害賠償を求める名誉毀損訴訟を提起。
さらに、2026年3月の第1回口頭弁論の法廷において、『国家の生贄』についても追加提訴する意向を表明しています。
以下の年表は、社会の動きと福田さんの取材活動、そして提訴に至るまでの流れを時系列で整理したものです。

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この年表からは、いくつかの重要な事実が読み取れます。
まず、名誉毀損の対象とされた記事はすべて2022年末〜2023年前半に発表されたものですが、提訴は2年以上が経過した2025年11月、著書の出版直前というタイミングで行われました。
また、訴状では福田さんの「取材不足」が主張されていますが、福田さんは紀藤弁護士に対して再三取材を申し込んでおり、応じなかったのは紀藤弁護士の側だと主張しています。取材を拒否しておきながら「取材をしていない」と批判するとはどういうことか、というのが福田さんの立場です。この点は、本裁判の大きな争点のひとつです。
なお、紀藤弁護士自身は、旧統一教会から名誉毀損訴訟を提起された際に「スラップ訴訟(言論封殺を目的とした訴訟)だ」と批判しています。
今回、その紀藤弁護士が一人のノンフィクション作家に対して訴訟を起こしたことの意味を、私たちは注視しています。